企画展「船大工の仕事2 -ベカブネをつくる-」
令和7年4月22日(火)~8月17日(日)
大田区の大森・糀谷では江戸時代中期から、羽田は明治時代から海苔養殖が行われていました。作業にはベカブネ(またはテンマ)と呼ばれる小舟を使用し、漁場の拡大と共に大型の海苔船が利用されるようになりました。これらの船を建造したのは船大工であり、昭和30年代に大森には7軒、糀谷には1軒、羽田には9軒の船大工(造船所)がありました。
海苔養殖に欠かせないベカブネは木造で、船底となるシキ(敷)と、船縁を構成するカジキとタナを組み立てて作られます。船の建造には、用材の木を切るための鋸類、木を削る鉋類、舟釘やそれを打つ穴を開けるためのツバノミなど、用途によってさまざまな大きさと形の道具を使いました。特に、海水が漏れず軽く丈夫な造りに仕上げるためには、これらの道具を使い分ける熟練の技と工夫が求められました。船底のシキを作るだけでも20以上の工程があり、その技術の高さがうかがえます。
本展では、大田区立郷土博物館の特別展「大田区の船大工」(平成8年度)に展示するため、大森の平野造船がベカブネを建造した際に記録した写真と、平野造船が実際に使用した道具類を中心に展示します。展示を通して、大田区の海苔養殖を支えていた船大工の造船技術をご覧ください。
企画展「海苔づくりの伝統と手わざを伝える人々 -協力者会とはまどの会-」
令和7年8月19日(火)~11月16日(日)
当館では、「協力者会」と「はまどの会」という2つのボランティアグループがあり、大森の海苔づくりの歴史を後世に伝えるために活動をしています。
「協力者会」は、大森の元海苔生産者によって構成されたグループで、平成20(2008)年の開館以来、海苔づくりに関する催し物において、参加者やスタッフの指南役を担ってきました。かつて大森の海で実際に海苔づくりをしていた経験を活かし、海苔つけの手わざや展示されている道具の使い方、海苔簀づくりの材料準備の指導などを行ってきました。大森の海苔づくりの歴史を伝える上で欠かせない存在です。
一方、「はまどの会」は「浜で働く人」を意味する「はまど」という大森の言葉に由来し、地域の歴史や海苔づくりに関心を持つ方々や、当館の活動を応援したいという思いを持つ一般の方々が参加しています。開館の翌年から活動が始まり、大森の海苔づくりに関しては協力者会から直接技術指導を受けて学び、催し物の指導や補助、浜辺での海苔の生育作業などさまざまな場面で協力者会と共に活躍しています。
本展では、「協力者会」と「はまどの会」の2つのグループのこれまでの活動の歩みと地域の人々とのつながりを通して、大森の誇りである海苔づくりの伝統を伝える様子を紹介します。