過去の企画展(令和4年度)

企画展「写真家の卵がとらえた海苔と共に生きる大森の人々」

令和4年4月19日(火)~8月14日(日)

日高勝彦氏は大田区在住のカメラマンです。大学の写真学科を卒業後、共同通信社の報道写真家を経て、建築写真や広告写真などを撮影するカメラマンとして活躍しました。

昭和30年代、日高氏は大田区に暮らし、大学で写真を学ぶ青年時代を過ごしていました。当時は、高度経済成長が始まる直前で、大田区は町工場が活気を帯びつつある一方、海辺では伝統的な地場産業である海苔養殖が続けられていました。浜の活気に興味をひかれた日高青年は、卒業研究の題材を求めて足しげく大森に通いました。時には海苔生産者に頼み込み、船に同乗して仕事の様子を撮影したそうです。

60年以上を経て、写真をまとめるために日高氏が海苔のふるさと館を訪ねてきました。かつて撮りためた写真に写っていたのは、海苔養殖の仕事に誇りをもち、活気にあふれた大森の人々の姿でした。

今回は、日高勝彦氏が大学時代に撮影した大森の海苔養殖の風景と、それに従事する人々を写した写真を展示します。写真を通して、大森の人々の暮らしぶりと、当時の街の面影をご覧ください。

今回の企画展開催に当たり、貴重な写真をご提供くださった日高勝彦氏に厚く御礼申し上げます。



企画展「新収蔵品展 ~昭和から令和へ受け継ぐ道具たち~」

令和4年8月16日(火)~11月20日(日)

大田区の海苔養殖は、江戸時代中期から始まったとされます。しかし、東京港の港湾整備などのため、昭和37(1962)年12月に海苔生産者の漁業権放棄が決定しました。

大田区の海苔養殖の歴史が終わって間もなく60年が経ちますが、現在も海苔養殖に関する道具や衣類、写真などが寄贈されています。当館では、これらの資料を保管し、企画展での公開や学校教育での活用など、後世に受け継ぐ活動を行っています。

今回は、平成30年度以降に寄贈された資料の中から、海苔養殖に関する資料や写真を展示します。海苔問屋や船大工、染工場など海苔と結びつきのある業種についての資料も含まれています。これらの資料を通じて海苔の歴史に関心を深め、現在の大田区の街を見直すきっかけになれば幸いです。



企画展「海苔養殖の一年と冬の一日」

令和4年11月22日(火)~令和5年4月16日(日)

大田区の海苔養殖は江戸時代中期に始まり、昭和38(1963)年春まで行われました。当時の作業はすべて手作業で、簡易な道具は生産者自らが手作りしていました。そのためシーズン最初の仕事は、夏に陸での道具作りから始まりました。秋には漁場の場割りや種付けなど海での準備を行い、冬には海苔の収穫の時期を迎えました。

収穫期の作業は、海苔採りから始まり、翌日は早朝から海苔付けをおこなって、完成した乾し海苔の入札をするという2日がかりの作業でした。そして、春になると漁場の片づけをして一年に渡る作業が終わります。このように海苔養殖には多くの作業がありました。

今回の企画展では、当時の海苔養殖の作業に関する写真を展示します。一年間の作業の流れとともに、冬の収穫期の一日の作業も解説します、この展示を通して、海苔養殖の歴史や技術に関心を持っていただければ幸いです。


大森 海苔のふるさと館   〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2-2   

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